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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻1号

2023年01月発行

症例報告

幼少期より左下肢の浮腫,腫脹を反復し,細菌感染を契機に診断された重複下大静脈の1例

著者: 山﨑雄貴1 松尾晋祐1 石川貴裕1 宗次太吉1 佐藤貴浩1

所属機関: 1防衛医科大学校病院皮膚科

ページ範囲:P.25 - P.29

文献概要

要約 53歳,男性.幼少期より左下肢に発赤腫脹を繰り返し,徐々に下肢周径の拡大を認めた.初診6日前より左下腿に発赤が出現,徐々に疼痛を伴い当科に紹介された.左下腿から足背にかけて発赤腫脹があり,足関節周囲は紫紅色調で硬化を伴っていた.また,大豆大までの皮内ないし皮下結節が多発し,一部で自壊し排膿がみられた.白血球数,CRP高値で排膿部位からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus : MRSA)が検出された.左下腿蜂窩織炎および多発皮下膿瘍と診断し,抗MRSA薬投与にて軽快した.胸腹骨盤造影CTでは明らかな骨盤内占拠性病変はなかったが,重複下大静脈を認めた.重複下大静脈は先天性の静脈奇形であり,臨床症状を呈することは稀であるが,還流障害により片側性の浮腫や感染の原因となりうる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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