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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻1号

2023年01月発行

文献概要

症例報告

囊腫状構築を伴った悪性らせん腺腫の1例

著者: 今関梓12 丸裕吾12 松澤高光1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2船橋市立医療センター皮膚科

ページ範囲:P.47 - P.51

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要約 72歳,女性.約30年前に左下腹部に小豆大の結節が出現し,3年前から増大傾向あり当科を受診した.左下腹部に40 mm大の紅色から暗紫色の皮膚腫瘤を認め,超音波検査で腫瘤内に囊腫状構築と充実性領域が混在し,囊腫状構築の内部に液面形成を伴っていたことより,solid-cystic hidradenomaなどの良性腫瘍を疑った.病理組織像にて,充実性胞巣内にN/C比の高い小型細胞と淡好酸性の大型細胞が索状あるいはシート状に増殖し,管腔形成を伴っていた.一方,囊腫壁とその辺縁において異型性の強い細胞が囊腫壁外へ浸潤増殖し,悪性らせん腺腫と診断した.悪性らせん腺腫は組織学的に囊腫状構築を伴う報告例があるが,術前画像所見の記載があるものはわれわれが調べえた限りない.自験例のように囊腫状構築を伴う良性腫瘍に類似する超音波所見がみられた場合であっても,悪性腫瘍を否定しえないことに留意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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