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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻1号

2023年01月発行

文献概要

症例報告

生検前に超音波検査で評価した頸部結核性リンパ節炎の1例

著者: 渡辺愛友1 田中隆光1 坪川友紀1 鎌田昌洋1 大西誉光1 若林義賢2 森田茂樹3 笹島ゆう子3 多田弥生1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座 2帝京大学医学部感染症内科 3帝京大学医学部病理診断科

ページ範囲:P.61 - P.66

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要約 35歳,男性.3か月前に発熱があり1日で解熱.その2週間後より頸部に自覚症状のない皮下腫瘤が出現,徐々に痛みを伴い当科を紹介され受診した.初診時,左側頸部に2 cm大の弾性やや硬のなだらかに隆起した皮下腫瘤を認めた.超音波検査にて25×11 mm大の境界一部不明瞭な楕円形のリンパ節で,リンパ門や2層構造は消失し,辺縁の一部に血流信号あり,エラストグラフィで硬く表示された.病理組織は乾酪壊死を伴った大小の類上皮肉芽腫が密に分布し,リンパ球が介在していた.組織培養とPCRから結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を検出した.リファンピシン,イソニアジド,ピラジナミド,エタンブトールの4剤を8週間,リファンピシン,イソニアジドの2剤のみ24週間投与した.その後再発なく,治療終了とした.頸部リンパ節腫脹では,超音波検査が腫瘍性か炎症性かの鑑別に有用であるが,例外として結核性リンパ節炎があり,病期によってさまざまな組織像を示し,超音波検査でも形状や内部構造,血流,硬さは種々であり,総合的な評価が必要である.

参考文献

1)厚生労働省:2019結核登録者情報調査年報集計結果https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00003.html
2)井口広義:耳鼻臨床 108 : 887, 2015
3)Geldmacher H, et al : Chest 121 : 1177, 2002
4)島田信勝,山本八洲夫:外科 9 : 75, 1947
5)井口広義:日耳鼻会報 122 : 29, 2019
6)白川崇子:臨画像 30 : 235, 2014
7)Tanaka T, et al : J Eur Acad Dermatol Venereol 34 : 754, 2020
8)白川崇子,他:臨画像 24 : 598, 2008
9)宮本幸夫,他:ENTONI 83 : 30, 2007
10)齋藤康一郎,渡邉 格:耳鼻・頭頸外科 88 : 625, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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