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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻1号

2023年01月発行

症例報告

茨城県でみられたタカサゴキララマダニによる刺症の4例

著者: 加倉井真樹1 島田瑞穂23 川端寛樹4 出光俊郎56

所属機関: 1加倉井皮膚科クリニック 2自治医科大学健診センター 3足利赤十字病院内科 4国立感染症研究所細菌第一部 5上尾中央総合病皮膚科 6自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科

ページ範囲:P.67 - P.72

文献概要

要約 8歳男児,49歳男性,59歳女性,72歳男性のタカサゴキララマダニ刺症の4例を経験した.1例は5 cmを超える紅斑を呈した.刺咬部位は大腿部が3例,前腕1例であった.マダニの摘出方法は,1例は白色ワセリン法,2例はティックツイスター®で,1例は鑷子で摘除した.4例ともその後に発熱,全身性紅斑や消化器症状はみられなかった.6年間で当診療所を受診したマダニ刺症は20例である.関東北部の平野部でもタカサゴキララマダニ刺症が発生すると認識する必要がある.タカサゴキララマダニは,フタトゲチマダニと並び重症熱性血小板減少症候群の原因ウイルスや日本紅斑熱等のリケッチアを媒介することがある.今後,茨城県でも重症熱性血小板減少症候群患者発生の可能性があるため,マダニ刺咬予防のための啓発活動ならびに適切なマダニ摘出法のための情報提供が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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