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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻10号

2023年09月発行

文献概要

症例報告

DPP-4阻害薬内服中に中等症類天疱瘡を発症しステロイド外用と大量γグロブリン静注療法により寛解した2例

著者: 砂田緑1 山根万里子1 南川文香1 杉山聖子2 青山裕美1

所属機関: 1川崎医科大学附属病院皮膚科 2川崎医科大学総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.773 - P.780

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要約 症例1:72歳,男性.リナグリプチン内服中に,全身の紅斑,水疱を認めた.症例2:80歳,男性.ビルダグリプチン/メトホルミン配合錠を内服中に,全身の紅斑,水疱を認めた.血液検査,皮膚生検の結果から中等症のDPP-4阻害薬関連類天疱瘡(DPP-4 inhibitor-associated bullous pemphigoid : DPP-4i-BP)と診断した.自験2例は,ステロイド内服を行わずクロベタゾールプロピオン酸エステル(CP)外用(30 g/日)と大量γグロブリン静注療法(intravenous immunoglobulin : IVIG)(400 mg/kg/日,5日間)を併用し,抗体産生を制御し完全寛解を達成することができた.ステロイド内服使用例より早い段階でステロイド離脱可能であった.抗体価が急上昇している症例に対する治療として,全身CP外用療法の単独では抗体抑制効果が弱いと懸念されるため,IVIGの併用は有用性が高いと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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