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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻10号

2023年09月発行

症例報告

皮膚所見により肝内胆管癌の診断に至ったBazex症候群の1例

著者: 杉浦美月1 岩田洋平1 田中義人1 杉浦一充1

所属機関: 1藤田医科大学医学部皮膚科学

ページ範囲:P.795 - P.801

文献概要

要約 75歳,男性.初診の数年前から両手掌と足底に角化を伴う紅斑が,7か月前からは体幹・四肢にも紅斑が出現した.初診時,両手掌・足底の角化を伴う紅斑と落屑,爪の肥厚と変形,体幹・四肢の鱗屑を伴う紅斑を認めた.顔面にも脂漏性皮膚炎様の鱗屑を伴う紅色局面を認めた.血液検査で血清CEA値の上昇を認め,画像検査により肝内胆管癌と診断された.術前化学療法としてテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の内服を開始したところ,腫瘍は著明に縮小し,腫瘍マーカーも低下した.手掌・足底の皮疹も治療に伴い著明な改善を認め,Bazex症候群と診断した.自験例では血清EGF値は治療前後で変化を認めなかった.治療に反応しない難治性の手掌・足底の過角化を認めた際にはBazex症候群を念頭に置く必要がある.

参考文献

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10)廣澤知一郎,他:日本大腸肛門病会誌 55 : 402, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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