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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻10号

2023年09月発行

症例報告

術後晩期にメッシュプラグが結腸に穿通し皮下膿瘍を形成した1例

著者: 山村優人1 加藤達史1 岡村隆仁1

所属機関: 1大和高田市立病院外科

ページ範囲:P.810 - P.814

文献概要

要約 71歳,男性.2週間前より左鼠径部に腫脹・疼痛を認め前医(皮膚科クリニック)を受診した.皮下膿瘍の診断で,切開排膿処置など外科的治療が必要と判断され,当科に紹介された.患者は10年前に左鼠径ヘルニアに対する手術歴があった.CTで左鼠径部の皮下に膿瘍・ガス像があり,S状結腸と膿瘍腔が交通する所見を認めた.さらに下部消化管内視鏡検査にてS状結腸内に穿通するメッシュを認め,造影剤を注入したところ皮下膿瘍との交通があり,メッシュによるS状結腸穿通・皮下膿瘍と診断した.切開排膿,抗菌薬投与を行ったが炎症の改善なく,腹腔鏡補助下にメッシュ除去およびS状結腸部分切除術を施行した.術後経過は良好で術後12日目に退院となり,その後再発を認めていない.鼠径部ヘルニアは頻度の高い疾患であり,術後長期経過した患者に皮膚科医が遭遇する可能性もある.鼠径部皮下組織の炎症においてはメッシュ感染を念頭に置いた診療が求められる.

参考文献

1)日本ヘルニア学会:https://jhs.mas-sys.com/civic1.html
2)日本ヘルニア学会ガイドライン委員会(編):鼠径ヘルニア診療ガイドライン,第1版,2015
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4)小林智輝,他:日臨外会誌 81 : 106, 2020
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6)網木 学,他:埼玉医会誌 50 : 501, 2016
7)鈴木崇史,他:日臨外会誌 77 : 2303, 2016
8)上原拓明,他:日内視鏡外会誌 22 : 87, 2017
9)前田周良,他:日腹部救急医会誌 39 : 759, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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