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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻11号

2023年10月発行

文献概要

症例報告

皮下腫瘍摘出術の抜糸後に遅発性の血腫を生じた血友病B患者の1例

著者: 南川洋平1 堀田恵理1 森田大貴2 後藤幸子3

所属機関: 1京都済生会病院皮膚科 2京都済生会病院形成外科 3京都済生会病院小児科

ページ範囲:P.875 - P.879

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要約 29歳,男性.初診の数年前に左こめかみの皮下腫瘤を自覚した.徐々に増大してきたため,当科を受診した.初診時,左こめかみに約8 mm大の皮下腫瘤を認めた.術前の血液検査より,血友病Bと診断した.手術開始前に遺伝子組み換え第Ⅸ因子製剤を投与し,術後にトラネキサム酸を5日間投与した後,抜糸した.抜糸の約1週間後,岩盤浴に行った際に創部からの出血を自覚し,抜糸の約2週間後には15 mm大の血腫が出現した.血腫の除去,トラネキサム酸追加内服により約1週間で治癒した.自験例では,手術部位が顔面であったこと,岩盤浴による血管拡張,抜糸の時期,術前後の投薬や補充療法が少なかったことなどが出血を助長した可能性を考えた.血友病患者に対して顔面の皮膚・皮下腫瘍切除術を施行した際は,抜糸後も出血を助長するような行動を控える必要性や,術後1週間以降での抜糸,術前後の投薬や補充療法にも留意する必要があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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