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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻11号

2023年10月発行

文献概要

症例報告

温熱療法の併用が奏効したMycobacterium chelonaeによる非結核性抗酸菌症の1例

著者: 岡本修1 園田忠重2 横山佳代3 蒲池綾子4 宗元碩哲5 橋本裕之5

所属機関: 1大分市医師会立アルメイダ病院皮膚科 2春日皮膚科医院 3大分市医師会立アルメイダ病院臨床検査部 4大分市医師会立アルメイダ病院臨床病理科 5大分市医師会立アルメイダ病院形成外科

ページ範囲:P.905 - P.910

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要約 94歳,男性.2か月前に右手背に軽微な外傷を受傷し,1か月前から同部に紅色皮疹が出現した.初診時,手背に膿疱を伴う小結節が多発し,病理組織像は真皮内の膿瘍でZiehl-Neelsen染色陽性の桿菌が集塊を形成していた.組織培養でMycobacterium chelonaeが検出され,これによる非結核性抗酸菌症と診断した.抗菌薬内服を開始すると手背の皮疹はいったん潰瘍化した後に部分的に上皮化傾向を示し,小結節も消失した.しかしその後に患部に丘疹と膿疱が再燃したため温熱療法を追加した.追加1か月後に丘疹,膿疱は消失し,4か月後に潰瘍は上皮化した.過去の報告で温熱療法が無効と判断されたMycobacterium chelonae感染症症例は少ないため,本療法はMycobacterium chelonae感染の際に有効な補助的治療として意識してよいと思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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