icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻11号

2023年10月発行

文献概要

症例報告

Bartonella henselae抗体陽性から診断に至ったネコひっかき病の1例

著者: 島田京香1 岩渕千雅子1 日野治子1 大石陽子2

所属機関: 1公益財団法人日産厚生会玉川病院皮膚科 2公益財団法人日産厚生会玉川病院外科

ページ範囲:P.917 - P.920

文献購入ページに移動
要約 21歳,女性.初診2週間前に右腋窩の腫瘤に気づき来院.同部位に鶏卵大で,下床とは可動性のない弾性硬の皮下腫瘤を触知した.造影CT検査で右腋窩リンパ節が腫大し,結核性皮下膿瘍・悪性腫瘍のリンパ節転移などを疑い,リンパ節生検を施行した.病理組織所見では広範囲な膿瘍と類上皮細胞性肉芽腫がみられた.改めて問診で動物との接触歴を問うと,初診3か月前に地域ネコとの接触歴があることが判明した.血清学的検査でBartonella henselae IgGが256倍と上昇しており,ネコひっかき病の確定診断に至った.発熱などの全身症状を伴っていなかったため経過観察とした.ネコひっかき病は多彩な臨床像を呈し,確定診断には血清抗体測定が必要だが保険未収載で一般的ではなく,海外受注で時間を要するため,しばしば確定診断に苦慮することがある.自覚症状のない腋窩の腫瘤を主訴とする症例ではネコとの接触歴についての問診も重要である.

参考文献

1)山崎 修:日皮会誌 122 : 1353, 2012
2)峯垣裕介,他:臨皮 61 : 767, 2007
3)山本都美,他:皮膚臨床 47 : 1301, 2005
4)本間亜美,他:皮膚臨床 46 : 1673, 2004
5)Tsukahara, M : J Infect Chemother 8 : 321, 2002
6)伊藤亜希子,他:皮膚病診療 35 : 885, 2013
7)常岡英弘,他:Med Technol 35 : 1185, 2007
8)木下華子,他:臨皮 60 : 924, 2006
9)吉田 博,他:感染症誌 84 : 292, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?