icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻11号

2023年10月発行

文献概要

症例報告

特発性細菌性腹膜炎を合併した急性膵炎後の皮下結節性脂肪壊死症の1例

著者: 天野友里恵1 桃原真理子1 竹内想1 河野通浩12 秋山真志1 倉田信彦3 植月康太4

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科皮膚科学講座 2秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学講座 3名古屋大学医学部附属病院移植外科 4名古屋大学医学系研究科消化器内科学

ページ範囲:P.921 - P.925

文献購入ページに移動
要約 50歳,女性.初診7か月前に自己免疫性肝炎による非代償性肝硬変と診断されていた.初診1週間前に生体肝移植を行うため入院,その翌日に上腹部痛が出現し,急性膵炎を発症した.抗菌薬治療で膵酵素は改善傾向になったが,採血上炎症反応の上昇を認め,特発性細菌性腹膜炎と診断された.数日後,両下腿に有痛性の皮下結節が多数出現した.病理組織像として脂肪細胞は“ghost-like cell”の形状を呈し,脂肪小葉は壊死に陥っており,皮下結節性脂肪壊死症と診断した.本疾患は膵疾患に合併することが知られているが,自験例のような感染症合併例においては皮膚症状から細菌の血行性播種による二次性脂肪織炎も鑑別に挙がる.臨床症状からだけでは確定診断は困難であり,皮膚生検検体の病理所見と組織培養が確定診断に重要である

参考文献

1)Chiari H : Prager Med Wochenscher 8 : 285, 1883
2)Szymanski FJ, Bluefarb SM : Arch Dermatol 83 : 224, 1961
3)Rongioletti F, Caputo V : G Ital Dermatol Venereol 148 : 419, 2013
4)權藤寿喜,他:西日皮膚 70 : 261, 2008
5)寺木祐一:日皮会誌 130 : 569, 2020
6)Narváez J, et al : Semin Arthritis Rheum 39 : 417, 2010
7)楠山太郎,他:皮膚臨床 55 : 1925, 2013
8)玉城 毅,他:皮膚臨床 40 : 1445, 1998
9)長沼達史:膵臓 5 : 453, 1990
10)Betrains A, et al : Clin Rheumatol 40 : 1625, 2021
11)真木登喜世,蔵野みのり:皮膚臨床 36 : 176, 1994
12)清原恵理子,他:皮膚臨床 54 : 867, 2012
13)曽  遥,他:西日皮膚 84 : 207, 2022
14)村中友加里,他:皮膚臨床 60 : 1117, 2018
15)佐野沙織,他:皮膚病診療 34 : 755, 2012
16)戸田憲一,他:皮膚 34 : 138, 1992
17)Morrison LK, et al : Dermatol Ther 23 : 328, 2010
18)Mahmoud A, et al : Radiol Case Rep 18 : 1560, 2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?