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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻12号

2023年11月発行

文献概要

症例報告

ボリコナゾールが原因と考えられた中毒性表皮壊死症の1例

著者: 藤田悠花12 岡林綾1 川合未紗1 渡邊美樹13 平田央13

所属機関: 1和泉市立総合医療センター皮膚科 2大阪大学医学研究科情報統合医学皮膚科学教室 3大阪公立大学医学研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.971 - P.976

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要約 74歳,男性.併存症に多発性骨髄腫と糖尿病があり,多種の内服薬を服用していた.アスペルギルス肺炎で入院加療後,退院時にボリコナゾール(VRCZ)の内服が開始された.内服14日目に全身の発疹,結膜充血,口唇・口腔粘膜のびらん,発熱が出現し,入院加療となった.全身にtarget lesionを伴う紅斑が多発し,体表面積の50%の水疱・びらんに進展した.中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis : TEN)と診断し,内服薬をすべて中止した.プレドニゾロン1 mg/kg/日,ステロイドパルス療法2回,血漿交換療法7回,免疫グロブリン大量静注療法を併用し,軽快した.VRCZの薬剤リンパ球刺激試験はわずかに陽性で,臨床経過を含めてVRCZによるTENの可能性が高いと考えた.VRCZを内服している患者は多剤を内服していることが多く,VRCZが原因薬剤となる可能性に留意する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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