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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻12号

2023年11月発行

文献概要

症例報告

左乳房下の乳腺堤線上に生じ副乳由来と考えた線維腺腫の1例

著者: 小川夕貴1 伏間江貴之1 小田俊輔1 村田有也2 吉田哲也1

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター皮膚科 2国立病院機構東京医療センター臨床検査科病理

ページ範囲:P.998 - P.1002

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要約 27歳,女性.初診2か月前より左乳房下に1.5 cm大の有痛性皮下結節を自覚し当院を受診.超音波検査で皮下脂肪織内に境界明瞭な,内部濃度均一の低エコー像を認めた.血管平滑筋腫や神経原性腫瘍を鑑別に手術にて摘出した.肉眼的には線維性被膜に被包された表面平滑な腫瘍であり,病理組織学的に線維性間質を背景に腺管上皮の増生を認めた.腺管上皮は免疫染色でER,PgR,FOXA1,GATA-3のすべてが陽性であった.腫瘍が乳腺堤線上に位置していたことから,自験例を副乳由来の線維腺腫と診断した.線維腺腫は乳腺外科領域で最多の乳腺良性腫瘍であり,腋窩や軀幹に生じた副乳での発生も報告されている.皮膚科診療においては稀な疾患であるが,乳腺堤線上の皮下腫瘍をみた際の鑑別疾患として重要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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