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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻12号

2023年11月発行

症例報告

組織学的に境界明瞭な結節性病変を呈した皮膚腺様囊胞癌の1例

著者: 橋本可奈子1 川島裕平1 田村(永津)佳奈1 平井郁子1 中村善雄1 松井はるか2 河原由恵2 徳永雅彦3 比留間徹3 舩越建1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2けいゆう病院皮膚科 3神奈川県立がんセンター骨軟部腫瘍外科

ページ範囲:P.1003 - P.1008

文献概要

要約 68歳,男性.10年前より左前胸部のしこりが徐々に増大したため前医を受診した.径5 cmの皮下腫瘤に対し,前医で実施した皮膚生検にて腺様囊胞癌の組織像を認め,当院へ紹介となった.全切除時の病理組織像では真皮浅層から皮下脂肪織にかけて結節性病変を認め,N/C比の高い好塩基性細胞が腫瘍胞巣を形成し,篩状構造,充実型構造,管状構造の3種類の組織型がみられた.腫瘍細胞は2相性を呈し,CD117陽性の管腔上皮細胞とα-SMA陽性の筋上皮細胞で構成されていた.PET-CTで他臓器病変を認めず,皮膚原発腺様囊胞癌と診断した.約1年半が経過したが,再発はみられない.一般的に,本疾患は真皮内で大小多数の腫瘍胞巣を形成し浸潤性に拡がるが,自験例では比較的境界明瞭な結節性病変を呈し,cylindromaやspiradenomaなどとの鑑別が必要であった.腺様囊胞癌は,その希少性ゆえに全体構築と予後との相関についての定まった見解はない.今後さらなる症例の蓄積が望まれる.

参考文献

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13)増田泰之,他:臨皮 72 : 799, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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