icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻12号

2023年11月発行

症例報告

急速に進行し肺転移にて診断に至った原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫の1例

著者: 野邊美月1 下田由莉江1 佐藤洋平1 麻生純平2 下山田博明3 藤原正親3 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部呼吸器内科学教室 3杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.1009 - P.1015

文献概要

要約 86歳,女性.3年前から自覚する顔面の皮疹を主訴に受診した.初診時,頭部から顔面に紅斑と結節を認めた.病理組織学的に真皮から皮下脂肪織にかけて好酸球やリンパ球,形質細胞を主体とした炎症細胞浸潤を認めた.臨床像と併せangiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaと考え,ステロイド局注療法や放射線療法を施行するも難治であり,2回再生検したが初回と同様の所見であった.その後呼吸困難が出現しCTで両側多発肺結節を指摘され経気管支生検所見からCD30陽性リンパ増殖性疾患が疑われた.直近の皮膚生検標本を再検討しCD30陽性細胞を認め原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫と最終診断した.全身状態から化学療法は困難であり初診15か月後に永眠した.多発性の結節,腫瘤を呈し,リンパ増殖性疾患を疑う病理組織学的所見が継続的にみられる治療抵抗性の症例では,本疾患を鑑別の1つと考えCD30などの浸潤細胞での発現を検討しつつ早期から全身検索するべきであると考えた.

参考文献

1)岩月啓氏:日臨 79 : 407, 2021
2)遠藤雄一郎,他:Skin Cancer 26 : 15, 2011
3)上田英一郎,他:皮リンフォーマ 16 : 86, 1997
4)伊藤康裕,他:日皮会誌 106 : 439, 1996
5)岡澤ひろみ,他:西日皮膚 61 : 310, 1999
6)皮膚リンパ腫診療ガイドライン 2019 : 71, 2019
7)山崎菜央,他:Skin Cancer 30 : 218, 2015
8)安部真由,他:皮膚臨床 56 : 951, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら