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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻13号

2023年12月発行

文献概要

症例報告

深部静脈血栓症を伴う血管型Behçet病の1例

著者: 安田澪奈12 岩月啓氏2 鈴木究2 田中義人1 杉浦一充1

所属機関: 1藤田医科大学医学部皮膚科学 2藤田医科大学岡崎医療センター皮膚科

ページ範囲:P.1049 - P.1053

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要約 41歳,男性.両下腿腫脹と圧痛,熱感を伴う紅斑を認め,蜂窩織炎を疑われ紹介受診した.右下腿に結節性紅斑を認め,皮膚生検では脂肪織炎と血栓性静脈炎の所見,画像検査では左下腿の深部静脈血栓症(deep venous thrombosis : DVT)を認めた.DVTに対して抗凝固療法を開始後に,再発性アフタ性口内炎と関節炎,針反応陽性,HLA-B51陽性などが判明し,最終的に血管型Behçet病と診断した.血管型Behçet病に対する確立された治療法はないが,一般的には免疫抑制療法での治療が報告されており,抗凝固療法に関しては議論が分かれる.しかし自験例では血管型Behçet病の確定診断の前にDVTに対して抗凝固療法を既に開始し治療効果が得られていた.そのため,免疫抑制療法の併用は待機とし,コルヒチン併用で治療を継続し現在も寛解を維持している.今後再燃を認めた場合には免疫抑制療法の併用を検討している.血管型Behçet病に対して抗凝固療法が有効な症例も存在するため,さらなる症例の蓄積が望まれる.

参考文献

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2)Takeno M, et al : Vascular involvement of Behçet's disease. Ishigatsubo Y ed, Behçet's disease. Springer, p. 70, 2015
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11)Alibaz-Oner F, et al : Medicine(Baltimore) 94 : e494, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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