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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻13号

2023年12月発行

文献概要

症例報告

抗菌薬治療後の残存病変に対し高温浴による温熱療法が有効であったMycobacterium marinum感染症の1例

著者: 大國谷彰人1 宮川秀美1 重原庸哉1 加藤峰幸1

所属機関: 1東京都立多摩総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.1097 - P.1102

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要約 78歳,女性.糖尿病にて加療中である.金魚の飼育をしている.初診2か月前より左中指にびらんと発赤・腫脹が出現し,その後左手背に紅色結節を認めた.紅色結節の病理組織では,真皮深層に乾酪壊死組織と多核巨細胞を認め,組織の塗抹検査ではZiehl-Neelsen染色陽性,質量分析でMycobacterium marinumを検出した.皮膚M. marinum感染症と診断し,リファンピシン,エタンブトール,クラリスロマイシンでの多剤併用療法を開始した.皮疹は改善傾向を示したものの肝障害,味覚障害が出現し残存した.薬物治療を中止し,42 ℃のお湯に20分間左前腕を浸ける高温浴による温熱療法を行い,皮疹は消退した.温熱療法は抗菌薬治療と併用して使い捨てカイロを用いて実施されることが多いが,高温浴による温熱療法単独での治療が残存病変に有効である可能性が示された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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