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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科77巻2号

2023年02月発行

雑誌目次

症例報告

ε-アミノカプロン酸含有精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液によるアレルギー性接触皮膚炎の1例

著者: 小島豪 ,   木村有太子 ,   栗原麻菜 ,   金子高英 ,   鎌田莉有 ,   海老原伸行 ,   髙森建二 ,   須賀康

ページ範囲:P.107 - P.112

要約 42歳,女性.33歳時に発症した中毒性表皮壊死症の後遺症により,マイボーム腺梗塞を発症.ドライアイのため数年にわたり,複数の点眼薬を使用していた.1か月前より両側の上下眼瞼に紅斑が出現したため,点眼薬による接触皮膚炎を疑われて当科を受診した.原因薬剤を特定するため,被疑薬であるヒアレイン®ミニ点眼液0.3%を含む5薬剤のas isパッチテストを施行したが,判定はすべて陰性だった.しかしながら,臨床所見上は点眼薬の接触皮膚炎を強く疑ったため,成分パッチテストを施行した結果,ε-アミノカプロン酸(ε-aminocaproic acid:EACA)が陽性であり,EACAによるアレルギー性接触皮膚炎と診断した.診断後EACA非含有の点眼薬に変更したところ症状は改善した.また使用していた歯磨き粉もEACA含有のものであったため,合わせて使用を中止した.EACAは多くの医療品,歯磨き粉,ナイロンタイツなどに含有されているため,製品のみではなく,成分パッチテストから得た情報もきわめて有用と考えた.

添加剤として含有されたコハク酸に対する即時型アレルギーが原因と診断したイブプロフェン含有市販感冒薬によるアナフィラキシーの1例

著者: 山野希 ,   足立厚子 ,   大塚晴彦 ,   井上友介 ,   白井成鎬 ,   織田好子 ,   福永淳

ページ範囲:P.113 - P.117

要約 40歳,女性.2年前にイブプロフェン含有市販感冒薬内服直後に蕁麻疹,呼吸困難を呈し,アナフィラキシーショックと診断された.顔面腫脹,喉頭違和感に対しヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投与後に症状の増悪を呈したこともある.被疑薬の市販感冒薬の主剤イブプロフェンの内服テストは陰性であったが,市販感冒薬as isの内服では陽性を示し,添加剤に対する即時型アレルギーを疑った.成分別プリックテスト施行にて,主剤のイブプロフェン陰性,添加剤ではコハク化ゼラチンのみ陽性,ゼラチン陰性,好塩基球活性化試験も同様の結果を示した.コハク酸含有注射剤を用いた皮内テストも陽性であり,本症例をコハク酸に対するIgE介在型即時型アレルギーと診断した.コハク酸化合物の除去指導により症状の再発はない.薬剤内服による即時型アレルギー症状では,主剤のみならず添加剤によるアレルギー症状の可能性も念頭に置く必要がある.

Cronkhite-Canada症候群の2例

著者: 石元未紗 ,   大霜智子 ,   中井一花 ,   住友理映子 ,   渡邊芳久 ,   三木祐哉 ,   福井純毅 ,   鶴田大輔

ページ範囲:P.118 - P.124

要約 症例1:76歳,男性.爪甲脱落と両手指色素斑にて当科を受診した.下痢と味覚異常があり,消化管内視鏡検査で大腸に多発ポリープを認めた.症例2:50歳,女性.爪甲脱落,びまん性脱毛,両手掌と爪周囲の色素沈着を主訴に受診した.味覚異常があり,消化管内視鏡検査で胃・大腸に多発ポリープを認めた.いずれもCronkhite-Canada症候群と診断した.症例1は,対症療法にて症状は軽快した.症例2は,プレドニゾロン50 mg/日より投与開始となり,腸管症状,味覚異常,皮膚症状が改善したため,治療開始5か月後には内服を終了した.いずれも現在まで症状再燃なく経過している.症例1はIgG4関連自己免疫性膵炎の既往があり,症例2は副腎機能低下を合併していた.Cronkhite-Canada症候群の原因は未だに不明であるが,IgG4関連疾患などの免疫異常が存在する可能性があり,合併症にも注意する必要がある.

肺腺癌に対してペムブロリズマブ投与中に発症したlichen planus pemphigoidesの1例

著者: 国峯真也 ,   野口篤 ,   細井美都 ,   松田真佑香 ,   上井貴絵 ,   長谷川敏男

ページ範囲:P.125 - P.130

要約 62歳,女性.肺腺癌に対してペムブロリズマブの投与開始後,扁平苔癬様皮疹と水疱,びらんを伴う浮腫性紅斑,口腔内白色線条が出現した.抗BP180抗体上昇あり,病理組織像では表皮基底層の液状変性と表皮下水疱,蛍光抗体直接法で表皮基底膜部にIgGとC3が線状に沈着しておりlichen planus pemphigoidesと診断した.ペムブロリズマブを中止しステロイド全身投与により皮疹は改善した.本症はXVII型コラーゲン関連の自己免疫性水疱性疾患であり,類天疱瘡群との鑑別が重要となる稀な疾患である.本症を誘発する薬剤としてACE阻害薬のほかPD-1阻害薬があり,ペムブロリズマブは過去に3例の報告があった.自験例は中等量のステロイド投与により寛解に至ったが,過去の報告では免疫抑制剤や血漿交換療法を要した難治例もあり,今後さらに症例を重ねて治療指針を確立する必要がある.

囊腫壁温存手術を行った表皮囊腫の2例

著者: 伏田奈津美 ,   岡本芳伸

ページ範囲:P.131 - P.137

要約 症例1:83歳,男性.10年前に頭頂部に隆起性病変が出現し徐々に増大,突出する鶏卵大の腫瘤となった.症例2:77歳,男性,維持透析中.数年前に右肘窩に結節が出現し徐々に大豆大まで増大.エコーで腫瘤直下に静脈の近接を確認.2例とも,皮膚切開し囊腫内容物を除去後,囊腫壁上部と被覆皮膚を部分切除して,温存した囊腫壁底部を閉創に利用する術式(囊腫壁温存手術)を適用した.前者は腫瘤の大きさや発生部位から,後者は出血のリスクを懸念し,単純切除よりも本法が良い適応と考えた.術中術後に問題なく,整容的にも許容できる結果を得た.囊腫壁温存手術は核出の手技を要さないため,侵襲を減らしうる比較的簡便な術式である.発生部位や大きさのために単純切除が困難である表皮囊腫に対しては,同術式は治療の選択肢になりうる.

左側頭部に生じたapocrine poromaの1例

著者: 瀧脇道弘 ,   山本有紀 ,   栗本麻奈 ,   神人正寿 ,   岩橋吉史 ,   村田晋一

ページ範囲:P.138 - P.142

要約 79歳,女性.初診2か月前より左側頭部に結節が出現し,初診時は直径10 mm大の可動性良好なドーム状紅色結節であった.病変部を全摘切除した.HE染色では表皮に連続してporoid cellが胞巣を形成し,胞巣内部にはcuticular cellで覆われた管腔の形成がみられ,poromaとして矛盾しない所見であった.また,脂腺細胞が集塊を形成し毛包分化を示す部位も散見されたため,apocrine poromaと診断した.表皮と連続性があり,胞巣内に脂腺・毛包分化がみられるporomaは,他にholocrine poromaやporoma with sebaceous differentiationとして報告されている.これらは発生学上,folliculo-sebaceous-apocrine unitに由来することで一致しており,自験例を含め,このようなporomaは報告例が少なく,貴重な症例と考えられた.

ニボルマブ無効後BRAF-MEK阻害薬が有用であった皮膚悪性黒色腫の1例

著者: 今井俊輔 ,   林健

ページ範囲:P.143 - P.148

要約 62歳,男性.左大腿屈側に皮表に紅斑,黒色斑,茶褐色斑を伴う示指頭大の皮下腫瘤があり全摘生検した.病理組織学的に,核異型,核分裂像を認めるメラノサイトが大小不規則な胞巣を形成し,皮膚悪性黒色腫pT2aN2bM0 Stage ⅢBと診断した.同部位の拡大切除および左鼠径リンパ節郭清後に,ニボルマブの投与を開始した.しかし,術後2か月で局所再発したため,再度,腫瘍の可及的摘出を行い,エンコラフェニブおよびビニメチニブ併用療法を施行した.術後17か月経過した現在も再発転移はない.急速な病勢進行の可能性の低い悪性黒色腫患者の一次治療には,作用発現に時間がかかるが長期生存が期待できる免疫チェックポイント阻害薬を選択.そして一次治療に対して不応な症例では,二次治療としてBRAF/MEK阻害薬併用療法を選択することが有効であると考えられた.

血管肉腫との鑑別を要した芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の1例

著者: 亀田瑛佑 ,   塚本利朗 ,   宮地秀明 ,   松澤高光 ,   猪爪隆史 ,   松江弘之

ページ範囲:P.149 - P.154

要約 93歳,女性.初診1週間前に左側頭部に暗紫色の局面を施設職員に発見され,拡大傾向があるため当科を紹介され受診した.初診時,左側頭部から頸部に大型の結節の多発を伴う暗紫色の局面がみられた.頭部血管肉腫を疑い生検を施行したところ,真皮内にN/C比の高い大型の核を有する腫瘍細胞が浸潤増殖していた.免疫組織化学染色でCD4,CD56およびCD123がいずれも陽性であり,芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断した.初診後,頭頸部病変は急速に増悪した.初診6日後に軀幹に紫紅色の皮下結節が多発しており,初診15日後に永眠された.本疾患は急速に進行し予後不良の血液系悪性腫瘍であるが,新規薬物療法による予後改善が期待されている.自験例では頭頸部の皮疹から血管肉腫を想起したが,軀幹の皮疹の存在が重要な臨床的鑑別点であった.一見すると単一の疾患しか想起しえない症例であっても,常に全身を丁寧に診察することが重要であったと考えられた.

感染性腎炎によるネフローゼ症候群を合併した蜂窩織炎の1例

著者: 早川怜那 ,   佐藤洋平 ,   下田由莉江 ,   宮本彩子 ,   川上貴久 ,   要伸也 ,   大山学

ページ範囲:P.155 - P.160

要約 81歳,男性.当科初診4日前に発熱,下腿の疼痛,熱感を自覚し,当院救急外来を受診した.アセトアミノフェンを処方され内服したが,下腿の疼痛が増悪し,当科を受診した.初診時,左下腿に発赤,腫脹,熱感,疼痛を認めた.またその外側に5×4 cm大の一部潰瘍化を伴う皮膚びらんを認めた.下腿蜂窩織炎と診断し,抗菌薬の投与にて局所は改善傾向となった.第9病日に血液検査上,腎機能低下を認めたため,検尿追加しネフローゼ症候群と診断された.創部培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus : MRSA)とA群連鎖球菌を検出し,高齢者であること,IgA高値であることなどよりMRSA感染に伴う腎炎を疑い,抗MRSA薬を継続し腎機能は改善した.本邦における蜂窩織炎と腎障害の合併例は22例あり,そのうちネフローゼ症候群は5例で比較的稀であった.全例で基礎疾患はなかった.リスクのない症例でも時にネフローゼ症候群を発症する可能性があるため慎重な経過観察と早期の対応が必要と考える.

中毒性表皮壊死症との鑑別を要し死の転帰をたどった成人型ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の1例

著者: 加藤寿香 ,   栗田昂幸 ,   小田俊輔 ,   青木弘太郎 ,   石井良和 ,   館田一博 ,   石河晃

ページ範囲:P.161 - P.166

要約 81歳,男性.初診4日前から38 ℃台の発熱,下痢が出現した.2日前に前医にて,尿路感染症の診断で抗菌薬を投与された.1日前より全身の紅斑が出現し,肝障害,腎障害,ショック状態となり当院に救急搬送となった.初診時,眼球結膜充血,口唇のびらんおよび痂皮がみられ,頭部,体幹四肢はびまん性に潮紅し,間擦部を中心にびらんが多発し,Nikolsky現象陽性であった.血液,眼脂からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus : MRSA)が検出され,中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis : TEN),毒素性ショック症候群,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群を鑑別に抗菌薬投与,ステロイドパルス療法,免疫グロブリン療法を実施したが改善せず,永眠した.皮膚病理組織は表皮の壊死はなく,顆粒層より表層の表皮細胞が脱落し,棘融解細胞がみられた.起因菌株の全ゲノム解析を行い,表皮剥脱毒素遺伝子陽性のMRSAと判明し成人型ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群と診断した.過去の症例の検討からはTENと成人型ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の鑑別が困難な場合は血漿交換も早期の治療の選択肢となりうると考えた.

下腿のcalcific myonecrosisの1例

著者: 加藤寿香 ,   臼井真理子 ,   平井彩 ,   石河晃

ページ範囲:P.167 - P.171

要約 94歳,男性.72年前,左膝関節を銃弾が貫通した.左下腿は温存されたが,腓骨神経麻痺が生じ左足が下垂したため,ギプス固定し左足関節を意図的に拘縮させた.今回,当科初診1週間前に左下腿前面の腫脹を指摘された.初診時左下腿前面外側に腫脹,軽微な発赤を認めた.皮下には波動を触れ,微細な骨様硬の凹凸の硬結を触知した.左下腿単純X線にて脛骨前面に紡錘形の石灰化像あり,CTにて本来前脛骨筋があるべき場所に石灰化した壁に囲まれた低吸収域がみられた.波動部を穿刺したところ多量の茶褐色混濁液がみられ,培養は陰性であった.経過,画像所見より下腿のcalcific myonecrosisと診断した.本疾患は外傷やコンパートメント症候群発生後に数十年かけて筋肉が異所性に石灰化する疾患である.稀な疾患だが,下腿腫脹にて皮膚科を受診する可能性がある.本疾患において切開は二次感染を引き起こす可能性が高く,感染徴候がある場合を除き,経過観察が望ましいと思われる.

Basedow病に合併した象皮症様外観を呈した脛骨前粘液水腫の1例

著者: 丸玲奈 ,   吉原渚 ,   平澤祐輔 ,   池田志斈

ページ範囲:P.173 - P.178

要約 55歳,男性.初診3年前にBasedow病の診断のもと,チアマゾールの内服を開始した.その後,下腿に紅色局面が出現したため,前医皮膚科で皮膚生検を受け,脛骨前粘液水腫と診断された.特に治療は行われず,経過観察されていた.皮疹は徐々に拡大し,疼痛・歩行困難感が出現してきたため,当院を紹介受診した.初診時,下腿の脛骨前面から足背部にかけて淡紅色の弾性硬の結節が多発集簇し,局面を呈していた.再度皮膚生検を施行したところ,真皮内にアルシアンブルー染色で青染されるムチンの沈着がみられ,脛骨前粘液水腫と改めて診断した.クロベタゾールプロピオン酸エステル外用を開始し,また同時期に甲状腺全摘出術が施行された.術後3年が経過し,前脛骨の局面は消失した.甲状腺全摘術により脛骨前粘液水腫が発症または悪化する報告が多いが,本症例では軽快した.甲状腺摘出時,早期に高力価のステロイド外用を行うことにより,脛骨前粘液水腫の悪化を防ぐことができる可能性がある.

治療

局所進行・転移性皮膚癌に対するノバリスによる定位放射線治療

著者: 要藤歩美 ,   島田奏 ,   高塚純子 ,   竹之内辰也 ,   松本康男

ページ範囲:P.179 - P.184

要約 新潟県立がんセンター新潟病院において2008〜2020年の間に経験した高精度放射線治療装置ノバリスによる定位放射線治療(stereotactic radiotherapy : SRT)で治療した皮膚癌23症例30病巣について,治療奏効性および予後について解析した.評価可能であった29病巣での局所制御率は93%(27/29病巣)で,完全奏効34%,部分奏効41%であった.標的病変を局所進行性と転移性病巣に分けて解析した結果では,局所進行群では奏効率90%(9/10病巣),局所制御率100%(10/10病巣)で,転移群では奏効率63%(12/19病巣),局所制御率89%(17/19病巣)であった.自験例からは,局所進行・転移性皮膚癌に対するノバリスによるSRTの有用性が確認された.皮膚癌患者の高齢化・受診遅延に伴う治療困難例は増え続けており,本法のような低侵襲治療の開発需要は今後も高まっていくことが予想される.

マイオピニオン

井戸掘りと研究との関係

著者: 藤澤康弘

ページ範囲:P.104 - P.105

1.なぜ井戸掘りなのか
 2007年の新潟県沖地震で断水となり,トイレが流せないために水分の摂取を我慢しているというニュースを見て,水がない生活がどんなに不便だろうと思いながらネットサーフィンをしていたところ,自力で井戸が掘れるということを知った.自宅の庭から水が湧き出てくることを想像したらワクワクしてきたこと,そしてちょうど大学院生で自由になる時間もあったことから自分で井戸を掘ってみようと思ったのがきっかけである.指導医からしたらそんな暇あったら論文の1つでも読めと言いたいところだろうが,思い立ったら止まらない性格のため,そこから一気にのめり込むことになる.

連載 Clinical Exercise・186

Q考えられる疾患は何か?

著者: 山口さやか

ページ範囲:P.101 - P.102

■症 例■
患 者:61歳,女性
主 訴:顔面の浮腫と紅斑,瘙痒
既往歴・家族歴:特記すべき事項なし.
現病歴:初診2日前に新しく購入した化粧水を使用した.翌日より顔面に瘙痒を伴う紅斑と両側眼瞼の腫脹が出現したため,当科を受診した.
現 症:両眼瞼周囲に浮腫と紅斑があり,特に右側に強かった.鼻翼から両側頰部,下顎部にかけて淡紅色の紅斑がみられた(図1).

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目次

ページ範囲:P.97 - P.97

欧文目次

ページ範囲:P.99 - P.99

文献紹介

ページ範囲:P.154 - P.154

書評

ページ範囲:P.172 - P.172

次号予告

ページ範囲:P.185 - P.185

あとがき

著者: 本田哲也

ページ範囲:P.188 - P.188

 サッカーワールドカップがアルゼンチンの優勝で終了しました.日本代表も大いに活躍し世界からその快挙が大きく注目されました.ドイツ,スペインという強豪国に逆転で勝利し,見事に予選リーグ1位で決勝トーナメントに進みました.非常に惜しいところでクロアチアに敗れ初のベスト8入りは逃しましたが,近い将来きっとその壁を突破してくれることと思います.
 さてワールドカップでもう1つ大きな注目を集めたのがvideo assistant referee(VAR)です.VARとは,フィールドとは別の場所で映像を見てフィールド審判員をサポートする審判員のことのようです.日本がスペインに勝利した大きな分かれ目は,VAR判定であったことは多くの人がご存知かと思います.ゴールラインを割ったと思われたボールは,VARによるとほんのわずかラインに残っていることが判明し,結果的に日本のゴールが認められ決勝点になりました.VARがなければノーゴールと判定されても文句の言えない状況でしたから,客観的かつ公平なジャッジを導いたVARが活躍した瞬間でした.ワールドカップのVARはカメラ映像だけではなく,ボール内蔵チップの情報を基に判定していたそうです.ここまでくるとVARが人ではなくAIになるのもそう遠くはないでしょう.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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