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症例報告
囊腫壁温存手術を行った表皮囊腫の2例
著者: 伏田奈津美1 岡本芳伸1
所属機関: 1福井県立病院皮膚科
ページ範囲:P.131 - P.137
文献購入ページに移動要約 症例1:83歳,男性.10年前に頭頂部に隆起性病変が出現し徐々に増大,突出する鶏卵大の腫瘤となった.症例2:77歳,男性,維持透析中.数年前に右肘窩に結節が出現し徐々に大豆大まで増大.エコーで腫瘤直下に静脈の近接を確認.2例とも,皮膚切開し囊腫内容物を除去後,囊腫壁上部と被覆皮膚を部分切除して,温存した囊腫壁底部を閉創に利用する術式(囊腫壁温存手術)を適用した.前者は腫瘤の大きさや発生部位から,後者は出血のリスクを懸念し,単純切除よりも本法が良い適応と考えた.術中術後に問題なく,整容的にも許容できる結果を得た.囊腫壁温存手術は核出の手技を要さないため,侵襲を減らしうる比較的簡便な術式である.発生部位や大きさのために単純切除が困難である表皮囊腫に対しては,同術式は治療の選択肢になりうる.
参考文献
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