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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻2号

2023年02月発行

症例報告

感染性腎炎によるネフローゼ症候群を合併した蜂窩織炎の1例

著者: 早川怜那1 佐藤洋平1 下田由莉江1 宮本彩子2 川上貴久2 要伸也2 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部腎臓リウマチ膠原病内科学教室

ページ範囲:P.155 - P.160

文献概要

要約 81歳,男性.当科初診4日前に発熱,下腿の疼痛,熱感を自覚し,当院救急外来を受診した.アセトアミノフェンを処方され内服したが,下腿の疼痛が増悪し,当科を受診した.初診時,左下腿に発赤,腫脹,熱感,疼痛を認めた.またその外側に5×4 cm大の一部潰瘍化を伴う皮膚びらんを認めた.下腿蜂窩織炎と診断し,抗菌薬の投与にて局所は改善傾向となった.第9病日に血液検査上,腎機能低下を認めたため,検尿追加しネフローゼ症候群と診断された.創部培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus : MRSA)とA群連鎖球菌を検出し,高齢者であること,IgA高値であることなどよりMRSA感染に伴う腎炎を疑い,抗MRSA薬を継続し腎機能は改善した.本邦における蜂窩織炎と腎障害の合併例は22例あり,そのうちネフローゼ症候群は5例で比較的稀であった.全例で基礎疾患はなかった.リスクのない症例でも時にネフローゼ症候群を発症する可能性があるため慎重な経過観察と早期の対応が必要と考える.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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