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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻2号

2023年02月発行

文献概要

症例報告

下腿のcalcific myonecrosisの1例

著者: 加藤寿香1 臼井真理子1 平井彩2 石河晃3

所属機関: 1JCHO東京高輪病院皮膚科 2JCHO東京高輪病院形成外科 3東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.167 - P.171

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要約 94歳,男性.72年前,左膝関節を銃弾が貫通した.左下腿は温存されたが,腓骨神経麻痺が生じ左足が下垂したため,ギプス固定し左足関節を意図的に拘縮させた.今回,当科初診1週間前に左下腿前面の腫脹を指摘された.初診時左下腿前面外側に腫脹,軽微な発赤を認めた.皮下には波動を触れ,微細な骨様硬の凹凸の硬結を触知した.左下腿単純X線にて脛骨前面に紡錘形の石灰化像あり,CTにて本来前脛骨筋があるべき場所に石灰化した壁に囲まれた低吸収域がみられた.波動部を穿刺したところ多量の茶褐色混濁液がみられ,培養は陰性であった.経過,画像所見より下腿のcalcific myonecrosisと診断した.本疾患は外傷やコンパートメント症候群発生後に数十年かけて筋肉が異所性に石灰化する疾患である.稀な疾患だが,下腿腫脹にて皮膚科を受診する可能性がある.本疾患において切開は二次感染を引き起こす可能性が高く,感染徴候がある場合を除き,経過観察が望ましいと思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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