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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻2号

2023年02月発行

文献概要

症例報告

Basedow病に合併した象皮症様外観を呈した脛骨前粘液水腫の1例

著者: 丸玲奈1 吉原渚1 平澤祐輔1 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.173 - P.178

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要約 55歳,男性.初診3年前にBasedow病の診断のもと,チアマゾールの内服を開始した.その後,下腿に紅色局面が出現したため,前医皮膚科で皮膚生検を受け,脛骨前粘液水腫と診断された.特に治療は行われず,経過観察されていた.皮疹は徐々に拡大し,疼痛・歩行困難感が出現してきたため,当院を紹介受診した.初診時,下腿の脛骨前面から足背部にかけて淡紅色の弾性硬の結節が多発集簇し,局面を呈していた.再度皮膚生検を施行したところ,真皮内にアルシアンブルー染色で青染されるムチンの沈着がみられ,脛骨前粘液水腫と改めて診断した.クロベタゾールプロピオン酸エステル外用を開始し,また同時期に甲状腺全摘出術が施行された.術後3年が経過し,前脛骨の局面は消失した.甲状腺全摘術により脛骨前粘液水腫が発症または悪化する報告が多いが,本症例では軽快した.甲状腺摘出時,早期に高力価のステロイド外用を行うことにより,脛骨前粘液水腫の悪化を防ぐことができる可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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