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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

グルカゴノーマの摘出により改善した壊死性遊走性紅斑の1例

著者: 改正純一1 猪上奈奈1 松本奈央1 中川雄仁2 倉橋光輝3 玉置大4 中前恵一郎5 松井美萌1

所属機関: 1医仁会武田総合病院皮膚科 2滋賀県立総合病院皮膚科 3医仁会武田総合病院外科 4医仁会武田総合病院消化器内科 5医仁会武田総合病院内科

ページ範囲:P.207 - P.212

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要約 58歳,女性.全身のびらん,紅斑,体動困難のため当院へ救急搬送された.伝染性膿痂疹として抗菌薬で治療開始したが完治に至らず,ステロイド外用にも反応不良であった.壊死性遊走性紅斑を鑑別に挙げ全身検索したところグルカゴノーマが発見され腫瘍摘出で皮疹は完全に消失した.壊死性遊走性紅斑はグルカゴノーマに伴う皮疹として知られるが低栄養によるものも報告されている.自験例では不十分なスキンケアにより生じたアカツキ病や高グルカゴン血症による糖尿病を背景に生じた伝染性膿痂疹の合併があり壊死性遊走性紅斑と診断するのに難渋した.壊死性遊走性紅斑が出現したときには既に腫瘤の転移があるという報告もあり早期診断が患者の予後に影響を与えうる.壊死性遊走性紅斑の臨床像に修飾が加わる可能性があることを念頭に置く必要がある.

参考文献

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8)Pujol RM, et al : Int J Dermatol 43 : 12, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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