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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

腸管囊腫様気腫症を発症した皮膚筋炎の1例

著者: 小坂啓寿1 遠藤雪恵1 岡愛菜1 上原顕仁1 土岐清香1 安田正人1 茂木精一郎1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学

ページ範囲:P.213 - P.218

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要約 82歳,女性.初診の約2か月前に頭頸部と胸部,上肢の紅色皮疹と上肢の浮腫を自覚した.1か月前より嚥下困難,筋肉痛,筋力低下が出現したため前医に入院し,ヘリオトロープ疹,Gottron徴候,筋力低下,血清クレアチニンキナーゼ(CK)上昇,筋電図変化,抗TIF-1γ抗体陽性から皮膚筋炎と診断された.治療目的で当科に転院し,プレドニゾロン(PSL)55 mg(1 mg/kg/日)と免疫グロブリン大量静注療法の併用で皮疹やCK値は改善したが,治療開始2か月後に腹部膨満が出現した.CTで腸管壁内や後腹膜腔,前縦郭に気腫があり腸管囊腫様気腫症と診断した.安静と絶食,中心静脈栄養による保存的治療で改善し,第87病日に転院したが,転院4か月後に急性胆囊炎による敗血症で死亡した.腸管囊腫様気腫症は腸管壁内に含気性囊胞を生じる稀な疾患である.皮膚筋炎との合併例は少ないが,経過中に腹部膨満が生じた場合は本疾患の鑑別が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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