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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

全身および外用ステロイド投与によりニューモシスチス肺炎を合併した毛孔性紅色粃糠疹の1例

著者: 炭竈晏奈1 市來尚久1 藤井建人1 松山かなこ1 水谷陽子1 五明岳展2 宮﨑龍彦3 周円1

所属機関: 1岐阜大学医学部皮膚科 2岐阜大学医学部呼吸器内科 3岐阜大学病院病理部

ページ範囲:P.231 - P.236

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要約 59歳,男性.約1年前から頭皮に紅斑が出現し,前々医でステロイド外用薬を処方されたが改善しなかった.5週間前に眼瞼の腫脹が出現し,3週間前から全身に鱗屑を伴う紅斑を認めたため,前医でベタメタゾン(BTM) 4 mg/日内服で加療されたが悪化し当科を受診した.皮膚の組織学的所見と合わせ毛孔性紅色粃糠疹と診断した.クロベタゾールプロピオン酸エステル・ワセリン混合剤,活性型ビタミンD3外用とエトレチナート30 mg/日内服で紅斑は軽快した.BTMは漸減し1か月で終了した.BTM終了1週間後に発熱,胸部CTで両上葉にスリガラス陰影があり,喀出痰からニューモシスチスカリニDNAが陽性で,ニューモシスチス肺炎と診断した.紅皮症のためステロイド外用剤の経皮吸収が亢進している症例では,比較的短期のステロイド内服期間であっても,生物学的半減期や外用剤による経皮的吸収量も考慮し日和見感染の予防としてST合剤の予防投与が必要であると考えた.

参考文献

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11)Green H, et al : Mayo Clin Proc 82 : 1052, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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