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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

臍部に発症した乳房外Paget病の1例

著者: 境井尚大1 武重千沙1 見代佳奈1 五味由梨佳1 保坂浩臣1 藤本裕樹2 大塚尚治2

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院皮膚科 2昭和大学横浜市北部病院形成外科

ページ範囲:P.237 - P.242

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要約 81歳,男性.約5か月前から臍部に皮疹が出現した.臍部の陥凹部から右側に辺縁が淡褐色で,中央に鱗屑を伴う35×15 mmの淡紅褐色斑を認めた.皮膚生検を施行し乳房外Paget病と診断した.腋窩は異常なく,陰囊と肛門周囲に紅斑を認めたため生検を施行したがPaget細胞はみられなかった.臍部単発の乳房外Paget病と診断した.PET-CTや造影CTではリンパ節転移や他臓器転移は認めず,腫瘍辺縁から1 cmマージンでmapping生検を行い全摘術を施行した.術後1年経過し再発は認めない.医学中央雑誌で検索したところ,これまで臍部単発で発症した例は自験例を含めて6例と稀であり,発症から診断までに平均4.2年有していた.これは臍部単発の乳房外Paget病も経過が緩徐で自覚症状も乏しく,外陰部の乳房外Paget病と比較すると発見はしやすいものの患者に悪性腫瘍の可能性の自覚はなく,受診までに時間がかかったと考えた.臍部の難治性の局面は臍部の乳房外Paget病も鑑別疾患に必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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