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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

多発する皮膚転移に対して切除を繰り返した悪性黒色腫の1例

著者: 髙木杏子1 内村公美1 坊地実1 佐藤崇興1 梅木真由子1 中園裕一2 吉河康二2 阿南光洋3 井上亨4 杣田真一5 川中博文6 甲斐宜貴1

所属機関: 1別府医療センター皮膚科・皮膚腫瘍科 2別府医療センター病理診断科 3別府医療センター脳神経外科 4別府医療センター腎・泌尿器外科 5別府医療センター消化器内科 6別府医療センター消化器外科

ページ範囲:P.243 - P.249

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要約 58歳,男性.前医にて左足底原発巣切除後の悪性黒色腫の皮膚転移として当科を紹介受診.左足底に色素斑と腫瘤を認め,下腿に向かって飛び石状にin-transit転移を認めた.これらを連続性に切除し左鼠径リンパ節郭清術を施行し,術後IFN-βの局注療法を行った.その後,縦隔リンパ節転移,肺転移を生じ,ニボルマブ投与開始.さらに脳転移を生じ,ニボルマブ・イピリムマブ併用療法を4回行い,その後はニボルマブ維持療法に移行した.経過中に皮膚転移が多発し計105か所の外科的切除を要した.免疫チェックポイント阻害薬は臓器別に効果や耐性獲得に差があることを念頭に置き,効果の乏しい臓器や耐性獲得を生じた臓器は何か,逆に効果の持続している臓器は何かを考える必要がある.そして残存した転移巣への治療が予後やQOLを改善するかを慎重に見極め,治療方針を決定していく必要があると考えられた.

参考文献

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7)Kakavand H, et al : Mod Pathol 30 : 1666, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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