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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

CD56陰性円形細胞からなるimmunoblastoid芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の1例

著者: 小林由季1 伏間江貴之1 中村善雄1 水野洸太2 加藤淳2 江本桂3 大喜多肇3 坂本佳奈45 竹内賢吾45 江上将平6 舩越建1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科 2慶應義塾大学医学部血液内科 3慶應義塾大学医学部病理診断部 4公益財団法人がん研究会がん研究所分子標的病理プロジェクト 5公益財団法人がん研究会がん研究所病理部 6東京都済生会中央病院皮膚科

ページ範囲:P.251 - P.257

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要約 76歳,男性.初診4か月前に左上腕に虫刺され様の皮疹を自覚した.その後,皮疹が急激に隆起してきたため当科を受診した.左上腕に7×5 cm大,表面に一部潰瘍を伴い,ドーム状に隆起する弾性硬の赤褐色腫瘤を認めた.病理組織では,真皮全層にN/C比が高い類円形核をもつ細胞がシート状に増殖し,中心性の核小体を有していた.免疫染色でCD56陰性であったが,CD45,CD4,CD123,CD303,MYCが陽性で芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm : BPDCN)と診断した.多剤併用化学療法の効果は一時的で再発を繰り返し,約7か月で永眠された.BPDCNは,細胞形態により不整形核と不明瞭な核小体を持つとされているclassic BPDCNと類円形核と明瞭で大きな中心性核小体を1つ持つimmunoblastoid BPDCN(iBPDCN)に分けられ,MYC発現と強い相関があることが報告されている.自験例はiBPDCNと考えられ,MYCは陽性であった.また,MYC陽性例は陰性例と比べCD56の陽性率が低く,細胞形態により免疫染色パターンが異なることに留意する必要があると考えられた.

参考文献

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11)Pemmaraju N, et al : N Engl J Med 380 : 1628, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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