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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻3号

2023年03月発行

文献概要

症例報告

ストーマ周囲の腸上皮化生を母地として生じた大腸過形成性ポリープの1例

著者: 小島豪1 金子高英1 髙森建二1 須賀康1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院皮膚科学教室

ページ範囲:P.265 - P.269

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要約 85歳,男性.25年前に直腸癌で低位前方切除術を受けたが,その2年後に吻合部の出血があり,人工肛門(以下,ストーマ)を造設された.数か月ほど前より,ストーマ周囲に出血を伴う疣状結節が出現し,ストーマ装着が困難になってきたため当院受診した.初診時,左下腹部ストーマ周囲に赤色調の丘疹と疣状結節がみられた.前者は病理組織学的に,異型性のない腸上皮細胞で構成されており,腸上皮化生と診断した.一方,後者は乳頭腫状に増殖した円柱上皮細胞で構成されており,免疫組織化学的検査では,CK5/6陰性,CK20陽性であった.結節基部には,腸上皮化生が認められたことから,腸上皮化生を母地として生じた大腸過形成性ポリープと診断した.病変部を電気焼灼した後はストーマの管理が円滑になった.ストーマ関連皮膚障害を正しく診断し,適切な治療を行うことがQOL向上につながると考える.

参考文献

1)日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(編):ストーマ・排泄リハビリテーション学用語集,第4版,金原出版,p 34, 2020
2)永野みどり:直腸がんによるストーマ保有者の装具交換自立とストーマ周囲皮膚障害に関する生活上のリスク要因.聖路加国際大学学術情報リポジトリ2016(http://hdl.handle.net/10285/13131)
3)倉本 秋,伊原 治:臨外 45 : 449, 1990
4)Lyon CC, et al : Br J Dermatol 143 : 1248, 2000
5)Alvey B & Beck DE : Clin Colon Rectal Surg 21 : 41, 2008
6)Golubets K, et al : J Am Acad Dermatol 70 : e18, 2014
7)Strauch ED, et al : J Am Coll Surg 197 : 974, 2003
8)Morson BC : Dis Colon Rectum 5 : 337, 1962
9)Johnson CD, White H : Dis Colon Rectum 31 : 405, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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