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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻4号

2023年04月発行

症例報告

サラゾスルファピリジンとメトトレキサートの併用が有効であった再発性多発軟骨炎の1例

著者: 岩立和子1 猿田祐輔1 末木博彦1 三輪裕介2

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学講座 2昭和大学医学部内科学講座リウマチ・膠原病内科部門

ページ範囲:P.301 - P.306

文献概要

要約 25歳,女性.両側耳介の発赤,疼痛,全身の疼痛,関節痛を主訴に受診した.臨床症状として両耳介軟骨炎と多発性関節炎を認め,耳介軟骨の病理所見では軟骨周囲の炎症細胞浸潤,軟骨細胞の変性を伴い,再発性多発軟骨炎と診断した.関節症状が主体であり,高度肥満,双極性障害などの患者背景から長期間のステロイド療法により副作用が生じる可能性も考慮して,サラゾスルファピリジンとメトトレキサートの併用で治療を開始した.耳介の発赤は残存したが関節痛は日常生活に支障がない程度にコントロールできた.予後不良症例もあり,早期に正確な診断,傷害臓器の特定,重症度評価を行い,それらに応じた治療介入を行うことが重要と考えられた.本症は長期間にわたり寛解,再燃を繰り返すことが多いため,ステロイド薬の副作用リスクが大きい場合,関節炎が主体の場合はステロイド全身療法を温存し,他の免疫抑制薬で治療を開始することも選択肢の1つと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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