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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻4号

2023年04月発行

文献概要

症例報告

下腿の病変が高度で診断に苦慮したDarier病の1例

著者: 大草健弘1 猿田祐輔1 高橋奈々子1 北見由季1 渡辺秀晃1 中田土起丈2 中野創3 澤村大輔3 末木博彦1

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学講座 2昭和大学藤が丘病院皮膚科 3弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座

ページ範囲:P.307 - P.310

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要約 53歳,女性.約26年前より軀幹,下肢に皮疹が出現し,10年前より近医に通院していた.家族歴では母方祖母,母,妹に同様の症状がみられた.初診時,両下腿,両腋窩に紅斑局面を認め,特に下腿の紅斑局面上では不規則なびらんを伴い,鱗屑,痂皮が付着していた.Hailey-Hailey病もしくはDarier病を疑い,皮膚生検を施行した.病理組織学的には表皮内の裂隙形成があり,裂隙内には多数の棘融解細胞が認められた.棘融解上方には少数の異常角化細胞が存在していた.遺伝子検査ではATP2A2 exon8にc.1043 T>C変異が認められ,最終的にDarier病と診断した.通常本症の皮疹は間擦部位に好発し,下腿に皮疹を呈する例はきわめて稀である.自験例では正座の機会が多かったためにKöbner現象により特異な臨床像を呈した可能性を考えた.

参考文献

1)玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学体系,7巻,中山書店,p 160, 2002
2)玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学体系,7巻,中山書店,p 206, 2002
3)高木 敦,池田志斈:日皮会誌 121 : 681, 2011
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5)Green EK, et al : J Dermatol 40 : 259, 2013
6)Ruiz-Perez VL, et al : Hum Mol Genet 8 : 1621, 1999
7)黛 暢恭,池田志斈:日皮会誌 116 : 21, 2006
8)宮崎美智代,他:皮紀 84 : 301, 1989
9)松尾聿朗,木本雅之:J Visual Dermatol 2 : 460, 2003
10)須藤成章,他:日皮会誌 98 : 837, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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