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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻4号

2023年04月発行

文献概要

症例報告

腫瘍性病変が疑われアプレミラストが著効した被髪頭部・爪部限局性尋常性乾癬の1例

著者: 定本真梨子1 橋本由起1 田中博子1 日比野のぞみ2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座 2大森赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.311 - P.316

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要約 50歳,男性.初診3か月前より被髪頭部に皮角を呈する皮疹があり,腫瘍性病変を疑われ紹介受診した.周囲に数個の角化性紅斑があり手指爪甲の変形もみられた.頭部の皮疹より生検を行い尋常性乾癬と診断した.皮疹は被髪頭部,爪部に限局していた.外用療法や光線療法では改善せず,シクロスポリンとメトトレキサートの内服は副作用のため継続できなかった.その後アプレミラスト内服を開始したところ被髪頭部の皮疹が著明に改善し,爪甲の変形も改善傾向となった.自験例含め限局性尋常性乾癬について既報を検討すると,皮疹が限局する部位は頭部,顔面,爪甲が多く,限局する要因の1つにKöbner現象の関与が考えられた.その場合,皮疹の範囲がごく狭くても局所療法では難治の可能性がある.アプレミラストは安全性が高く,難治部に対して一定の効果も見込めることから,局所療法では難治の限局性尋常性乾癬に対する全身治療の導入として良い選択となりうると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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