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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻4号

2023年04月発行

症例報告

症状発現から30年を経過して確診したIL-36受容体拮抗因子欠損症の1例

著者: 桜莉唯心1 杉山由華1 杉浦一充2 戸倉新樹3

所属機関: 1静岡医療センター皮膚科 2藤田医科大学皮膚科 3浜松医科大学細胞分子解剖学

ページ範囲:P.317 - P.321

文献概要

要約 72歳,女性.40歳頃より全身に皮疹が出現し,近医で入院加療をしたが,確定診断に至ることなく,症状の出現と消退を繰り返していた.71歳時に心筋梗塞で当院入院中に同皮疹が出現し当科を紹介された.初診時,背部や側腹部,両上肢に一部膿疱を伴い落屑を付着した紅斑を認めた.左上腕の紅斑からの生検標本では,角層下に大型の好中球性膿疱がみられ,真皮上層の血管周囲性に炎症性細胞が浸潤し,また膿疱辺縁に多房性のKogoj海綿状膿疱もみられた.遺伝子検索では,IL36RN c. 115+6T>C heterozygoteの変異を認め,IL-36受容体拮抗因子欠損症(deficiency of interleukin-36 receptor antagonist : DITRA)と診断された.グセルクマブ投与を開始し,紅斑や膿疱は消退した.DITRAはIL36RN遺伝子変異によるIL-36受容体拮抗因子機能不全を背景とした疾患である.DITRAは疾患概念が最近確立した病態であり,自験例のように膿疱性乾癬とすら診断されることなく,症状出現から約30年を経過して診断に至る症例もあるため,尋常性乾癬を伴わないGPPやその類縁疾患を診察する際に遺伝子検索を行う重要性を実感した.

参考文献

1)Sugiura K, et al : J Invest Dermatol 133 : 2514, 2013
2)Sugiura K : J Dermatol Sci 74 : 187, 2014.
3)Tominaga C, et al : Case Rep Dermatol 7 : 29, 2015
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5)杉浦一充:日臨 76 : 1809, 2018
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9)Renert-Yuval Y, et al : Int J Dermatol 53 : 866, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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