icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻4号

2023年04月発行

文献概要

症例報告

Mycobacterium abscessus subsp. massilienseによる皮膚非結核性抗酸菌症の2例

著者: 李殷先1 北見由季1 岩立和子1 末木博彦1 深野華子2

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学教室 2国立感染症研究所ハンセン病研究センター

ページ範囲:P.361 - P.367

文献購入ページに移動
要約 症例1:21歳,女性.左前腕に潰瘍を伴う鶏卵大の有痛性の暗紅色隆起性病変が出現,さらに前額部に結節が出現した.4回にわたる菌学的検査では菌の検出がみられず,抗菌薬を変更しながら加療,一時軽快し治療を中断したが7か月後に新たに右前腕屈側に隆起性病変が出現した.症例2:20歳,女性.左肩甲部外側に径18 mmの皮内結節が出現し,2か月で増大した.最終的に2例とも血液寒天培地による一般細菌培養から菌を検出しmultiplex polymerase chain reaction(mPCR)法でMycobacterium abscessus subsp. massilienseと同定した.クラリスロマイシンを中心とした多剤併用療法,温熱療法を行い軽快した.非結核性抗酸菌は長い培養期間を要し,複数回の培養を試みる必要がある場合もあるが,時に抗酸菌培養以外でも検出しうる.よって本症を疑い培養する際は,検査室と臨床情報を共有し複数の培地や長い培養期間を設けてもらうことが起因菌同定に繋がり,早期診断,ひいては治療の完遂が目指せる可能性が高まると考えた.

参考文献

1)森本耕三:呼吸器ジャーナル 66 : 616, 2018
2)Hwang S, et al : J Dermatol 44 : 470, 2017
3)Kusunoki S, Ezaki T : Int J Syst Bacteriol 42 : 240, 1992
4)Lee MR, et al : Emerg Infect Dis 21 : 1638, 2015
5)石田修一:Derma 242 : 123, 2016
6)Velez L, et al : BMJ Case Rep 2018 : bcr2017222762, 2018
7)Jung MY, et al : Ann Dermatol 26 : 92, 2014
8)Lee SY, et al : Clin Exp Dermatol 39 : 904, 2014
9)Nakanaga K, et al : J Clin Microbiol 49 : 613, 2011
10)Griffith DE, et al : Am J Respir Crit Care Med 175 : 367, 2007
11)小橋吉博,御手洗聡:抗酸菌検査ガイド2020,南江堂,p 106, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?