文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
2.皮膚疾患の病態
皮膚表皮角化時に起こる顆粒層細胞の機能的細胞死:コルネオトーシス
著者: 松井毅123 天谷雅行23
所属機関: 1東京工科大学応用生物学部皮膚進化細胞生物学研究室 2理化学研究所生命医科学研究センター皮膚恒常性研究チーム 3慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.43 - P.48
文献概要
皮膚表皮の最外層にある角層は,死細胞である角層細胞が数層から数十層堆積し,外界からの病原体・毒物・機械刺激や乾燥から体を守っている重要なバリアである.この角層は,最上層の生細胞層である顆粒層細胞(SG1)の特有の細胞死により形成される.しかしその細胞死過程は不明な点が多い.われわれは最近,細胞内Ca2+とpHを可視化したライブイメージング法により,マウスSG1細胞の細胞死過程を解析した.その結果,その細胞死過程は,長時間の細胞内Ca2+上昇と直後に起こる急速な酸性化からなることが明らかとなった.一方で,単離したマウスSG1細胞からの解析により,酸性pH条件は,ケラトヒアリン顆粒と核内DNAの分解を促すことが明らかとなった.角層では,特殊な細胞内イオン変化を経て形成された死細胞が機能的な役割を果たしている.この新しい細胞死概念を「コルネオトーシス」と提唱する.
参考文献
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