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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
2.皮膚疾患の病態
文献概要
summary
天疱瘡における自己抗体の代表的なものとして知られているのはデスモグレイン(desmoglein : Dsg)1,3抗体である.天疱瘡の病態解明については,特にDsg3抗体を中心として研究が進んでおり,さまざまな病態機序がわかってきている.一方で,稀ではあるが天疱瘡ではデスモコリン(Dsc)抗体も検出される.しかし,その特徴,病的意義にはいまだ不明な点が多い.われわれはDsc3組み換え蛋白を作製し,患者血中のDsc3抗体は主に細胞外ドメイン(EC)2領域,その中のCa2+依存性の立体構造を認識しており,その部位を認識する抗体が細胞表面のDsc3を減少させ,細胞接着障害をきたすことを示した.Dsc3抗体にはDsg抗体と類似する特徴がある一方で,特有の特徴があることが示された.Dsc抗体に着目した天疱瘡の病態解明はまだあまり進んでおらず,今後Dsg抗体とは異なるアプローチでの病態解明に寄与できる可能性がある.
天疱瘡における自己抗体の代表的なものとして知られているのはデスモグレイン(desmoglein : Dsg)1,3抗体である.天疱瘡の病態解明については,特にDsg3抗体を中心として研究が進んでおり,さまざまな病態機序がわかってきている.一方で,稀ではあるが天疱瘡ではデスモコリン(Dsc)抗体も検出される.しかし,その特徴,病的意義にはいまだ不明な点が多い.われわれはDsc3組み換え蛋白を作製し,患者血中のDsc3抗体は主に細胞外ドメイン(EC)2領域,その中のCa2+依存性の立体構造を認識しており,その部位を認識する抗体が細胞表面のDsc3を減少させ,細胞接着障害をきたすことを示した.Dsc3抗体にはDsg抗体と類似する特徴がある一方で,特有の特徴があることが示された.Dsc抗体に着目した天疱瘡の病態解明はまだあまり進んでおらず,今後Dsg抗体とは異なるアプローチでの病態解明に寄与できる可能性がある.
参考文献
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