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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023 3.新しい検査法と診断法
アトピー性皮膚炎の角層中セラミドプロファイルのバイオマーカーとしての意義
著者: 波多野豊1
所属機関: 1大分大学医学部皮膚科学講座
ページ範囲:P.66 - P.69
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アトピー性皮膚炎の治療における基本的な考え方は,寛解導入・長期寛解維持である.寛解を正確に捉えることが治療の成否を分かつポイントの1つになるが,明瞭な指標がないのが現状で,治療の混乱の一因となっている.われわれは,角層中セラミドプロファイルが維持療法の成否を予測する因子になりうることを示した.すなわち,角層中セラミドプロファイルは十分な寛解状態を示すバイオマーカーになりうると考えられる.表皮分化がさまざまな炎症性因子によって影響を受けることを考慮すれば,その最終構造物である角層の状態を知ることは皮膚の状態を知ることにつながると考えられる.セラミドなどの角層中の分化関連成分の状態と紐付けされた簡便な検査機器が開発されれば,アトピー性皮膚炎に限らず,長期寛解維持が重要な慢性炎症性疾患の治療において有用と考えられる.
アトピー性皮膚炎の治療における基本的な考え方は,寛解導入・長期寛解維持である.寛解を正確に捉えることが治療の成否を分かつポイントの1つになるが,明瞭な指標がないのが現状で,治療の混乱の一因となっている.われわれは,角層中セラミドプロファイルが維持療法の成否を予測する因子になりうることを示した.すなわち,角層中セラミドプロファイルは十分な寛解状態を示すバイオマーカーになりうると考えられる.表皮分化がさまざまな炎症性因子によって影響を受けることを考慮すれば,その最終構造物である角層の状態を知ることは皮膚の状態を知ることにつながると考えられる.セラミドなどの角層中の分化関連成分の状態と紐付けされた簡便な検査機器が開発されれば,アトピー性皮膚炎に限らず,長期寛解維持が重要な慢性炎症性疾患の治療において有用と考えられる.
参考文献
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