文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
3.新しい検査法と診断法
Ehlers-Danlos症候群の遺伝診療
著者: 古庄知己1234
所属機関: 1信州大学医学部遺伝医学教室 2信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター 3信州大学医学部クリニカル・シークエンス学講座 4信州大学基盤研究支援センター
ページ範囲:P.86 - P.90
文献概要
Ehlers-Danlos症候群(Ehlers-Danlos syndrome : EDS)は関節可動性亢進,皮膚過伸展性,組織脆弱性をきたす遺伝性結合組織疾患であり,13病型に分類されている.主要病型である古典型EDSは,V型コラーゲン遺伝子異常により皮膚過伸展性・脆弱性,全身関節可動性亢進を呈する.血管型EDSはIII型コラーゲン遺伝子異常により動脈・臓器の脆弱性を呈する.関節型EDSは関節病変が中心で原因遺伝子が未同定である.筋拘縮型EDSは,先天異常関連症状(先天性多発関節拘縮,内臓等の先天異常),進行性結合組織脆弱性関連症状(皮膚過伸展性・脆弱性,足・脊椎変形,巨大皮下血腫等)を特徴とする病型であり,デルマタン4-O-硫酸基転移酵素またはデルマタン硫酸エピメラーゼをコードする遺伝子異常に基づき酵素活性が消失し,デルマタン硫酸が欠乏する.筆者らが国内共同研究にて発見・疾患概念を確立した.EDSの診療・研究の発展には,皮膚科と遺伝科の協働が必須である.
参考文献
掲載誌情報