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Derm.2023
皮膚科医25年目を迎えるにあたって
著者: 三井広1
所属機関: 1山梨大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.105 - P.105
文献購入ページに移動 卒後臨床研修制度がなかった私達の世代は,大学を卒業して直接入局をしました.1998年に卒業した私は,皮膚科医として25年目を迎えようとしています.私が入局した当時は山梨医科大学皮膚科でした.島田眞路 前教授や川村龍吉 現教授ら,強いリーダーシップ持った先輩方に指導をしていただき,皮膚科医として成長させていただきました.その間,患者さんを診断・治療する環境は大きく変化・進歩してきました.今では当たり前のように検査をしている自己免疫性水疱症の抗体は,抗Dsg1,3抗体は2003年,抗BP180抗体は2007年の保険収載です.また生物学的製剤や低分子阻害薬などの開発が進み,尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎をはじめとする,多くの炎症性皮膚疾患の治療の進歩には,隔世の感があります.多くの皮膚科医が重症のアトピー性皮膚炎患者さんの治療に苦心してきたことと思います.その皮膚が綺麗に美しく改善していくのは,医師として本当に嬉しい限りです.一方で,私達皮膚科医には患者さんの皮膚の状態を,より正しく評価するスキルが必要とされるようになった,とも思います.「まあ,変わりはありませんね」「こんなものですね」患者さんと医師の間に妥協点で納得するような診療は通用しなくなります.「診る」「触れる」「聞く」「嗅ぐ」.皮膚科医に必要な基本的な診療技術は,今も昔も変わりはありません.そして「伝える」.私達が培った知識や経験を,情熱を持って患者さんに伝え,より良い医療を提供できることに感謝とともに日々の診療に励んでいます.
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