文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
4.皮膚疾患治療のポイント
原発性腋窩多汗症に対するグリコピロニウムトシル酸塩水和物(ラピフォート®ワイプ2.5%)の有効性
著者: 大嶋雄一郎1
所属機関: 1愛知医科大学皮膚科
ページ範囲:P.117 - P.121
文献概要
グリコピロニウムトシル酸塩水和物(GT)は汗腺細胞にあるムスカリン受容体に結合し,アセチルコリンの作用を阻害することで制汗作用を発揮する.GT2.5%の第II/III相検証試験および長期投与試験で原発性腋窩多汗症に対する有効性と安全性が示された.外用4週時点でHDSS(hyperhidrosis disease severity scale)が2段階以上改善かつ発汗の総重量がベースラインに対して50%以上減少した患者の割合は,GT2.5%群41.1%,プラセボ群16.4%と有意差を認めた.GT2.5%は9歳以上の腋窩多汗症患者から使用することができる.腋汗に悩んでいる小中学生患者に使用することで,腋汗を抑えQOLが改善し,快適な学生生活を送ることが期待できる.注意事項は手に付着したGTが局所的な抗コリン作用を引き起こす可能性があるため,使用後は手を洗う必要がある.小中学生患者に処方する際には,家族の方に使用した子供が手洗いをしたか確認するように説明が重要である.
参考文献
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