文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
4.皮膚疾患治療のポイント
文献概要
summary
寛解導入,維持療法に関する標準治療が導入されて以降,ANCA関連血管炎患者の死亡率は改善してはいるもののいまだ予後不良の疾患であり,メディカルアンメットニーズが存在する.補体活性化の最終段階で産生される補体成分であるアナフィラトキシンC5aはC5a受容体を活性化し,抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody : ANCA)関連血管炎の病態進行に深く関わると考えられている.アバコパンは,本邦で開発された選択的C5a受容体(C5aR)拮抗薬で経口薬であり,血管炎の炎症増幅ループの抑制が期待される.アバコパンは2017年から日本人も含まれた国際共同第III相試験を実施し,ANCA関連血管炎に対するアバコパンの有効性および安全性が確認され,2021年9月に「顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症」に対して本邦で保険適用された.今後,導入時期や維持療法における使用方法など,実際の臨床現場での経験によりさらなる血管炎治療の進歩が期待される.
寛解導入,維持療法に関する標準治療が導入されて以降,ANCA関連血管炎患者の死亡率は改善してはいるもののいまだ予後不良の疾患であり,メディカルアンメットニーズが存在する.補体活性化の最終段階で産生される補体成分であるアナフィラトキシンC5aはC5a受容体を活性化し,抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody : ANCA)関連血管炎の病態進行に深く関わると考えられている.アバコパンは,本邦で開発された選択的C5a受容体(C5aR)拮抗薬で経口薬であり,血管炎の炎症増幅ループの抑制が期待される.アバコパンは2017年から日本人も含まれた国際共同第III相試験を実施し,ANCA関連血管炎に対するアバコパンの有効性および安全性が確認され,2021年9月に「顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症」に対して本邦で保険適用された.今後,導入時期や維持療法における使用方法など,実際の臨床現場での経験によりさらなる血管炎治療の進歩が期待される.
参考文献
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2)Jayne DRW, et al : N Engl J Med 384 : 599, 2021
3)Robson JC, et al : Arthritis Rheumatol 74 : 393, 2022
4)Suppiah R, et al : Arthritis Rheumatol 74 : 400, 2022
5)Mukhtyar C, et al : Ann Rheum Dis 67 : 1004, 2008
6)Little MA, et al : Ann Rheum Dis 69 : 1036, 2010
7)Flossmann O, et al : Ann Rheum Dis 70 : 488, 2011
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