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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023 5.皮膚科医のための臨床トピックス
全国の医療レセプトデータを用いたアトピー性皮膚炎症状の変化に関する基礎的検討
著者: 山中菜詩1 永井克彦2 川瀬善一郎3 梅村朋弘1 成定明彦4 鈴木孝太14
所属機関: 1愛知医科大学医学部衛生学講座 2株式会社JMDC 3一般財団法人日本気象協会 4愛知医科大学産業保健科学センター
ページ範囲:P.149 - P.152
文献購入ページに移動アトピー性皮膚炎症状の変化に関わる気象等の要因を検討するため,(株)JMDCが保有する医療レセプトデータと(一財)日本気象協会保有の気象データを用いて基礎的検討を行った.2019年の医療レセプトデータに登録されている,全国の0歳以上75歳未満(7,309,659人)から,ステロイド外用薬が処方され,薬剤ランクで重症化と定義された患者について,その発生傾向を時系列で分析した.さらに,関東地方に限定し,重症化と気象の関係を分析した.アトピー性皮膚炎における重症化の割合は,男女ともに10歳未満に多い傾向だった.月別では,7月が多く,1,2月が少なかった.関東地方における気象要素との関連性は,1〜9月に気温と正の,10〜3月は湿度と負の相関がみられた.アトピー性皮膚炎症状の変化とそれに影響する気象等の要因を分析するためには,10歳未満とそれ以外で層化する,あるいは,3か月ごとに層化し季節性を考慮する必要性などが示唆された.
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