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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻5号

2023年04月発行

Derm.2023

病棟医長として経験したコロナ禍

著者: 永井諒1

所属機関: 1兵庫医科大学病院皮膚科

ページ範囲:P.156 - P.156

文献概要

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行してから数年が経過し,外来業務でも大きな変化がありましたが,それ以上に入院が必要な患者さんにとって負担のかかる生活を強いられる時期となりました.緊急事態宣言下では個室以外の病室では,トイレ移動以外は基本的にカーテン内での生活を強いられ,フェイスガードをした医療スタッフとの最小限のコミュニケーション以外はできなくなってしまいました.以前は家族との面会や近くの病室の患者同士でお互いの事情や治療に対する思いを共有され,それがストレスのかかる入院生活に対しての緩衝材となっておりましたが,不可能となってからは医療スタッフに苛立ちや不安をぶつける患者が増えた印象があります.家族にとっても患者の病状や全身状態について電話以外で状況を知ることができない状況であり,こちらの連絡が滞っているタイミングで急変が起こったりすると医療スタッフに対して不信を感じられる場面もみられました.また末期がん等の緩和治療目的の転院交渉も,転院先で最後のお看取り以外での面会はできないという条件の病院がほとんどで,顔を合わせたいご家族の希望との不一致で転院が進まないこともありました.外来でも病床数の制限から,今までは入院で行っていた手術や侵襲的検査の一部は外来で行うようになり,徐々に規制は緩んではいますが今後もこの変化がすぐには元に戻ることはないかと思っています.学会や勉強会もオンラインでの参加が増え,今まで遠方で参加できなかった会も聴講できるようになり,E-learningでの事後聴講が可能になるなど便利なことが増えましたが,現地での空気感や緊張感がなく,いつでも後で観ることができると思うとただ眺めてしまうに終わってしまっています.現地に行こうとも思うのですが,感染のリスクや自宅や職場で参加できる便利に慣れてしまったためついつい億劫になってしまっています.環境自体もそうですが,自身もアフターコロナに向けて少しずつ変えていかないといけないのかもしれません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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