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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023 5.皮膚科医のための臨床トピックス
薬剤抵抗性アタマジラミの現状と新薬
著者: 山口さやか1
所属機関: 1琉球大学病院皮膚科
ページ範囲:P.161 - P.164
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アタマジラミは主に小児の間で集団感染する寄生虫疾患である.これまで日本でのアタマジラミ治療薬は,ピレスロイド系薬剤のみであったが,世界各地でピレスロイド抵抗性アタマジラミが蔓延し,日本,特に沖縄での抵抗性率は96%と蔓延している.この問題を受け,ピレスロイド抵抗性アタマジラミにも有効な薬剤の導入に向けて,沖縄のアタマジラミ症を対象に新規薬剤の臨床試験を行った.試験薬はシリコンの一種であるジメチコン製剤で,海外では市販薬としてすでに広く使用されている.有効症例23例の全例で,試験薬使用後に虫体は検出されず,採取した卵はほとんど孵化しなかった.試験薬使用4週間後の電話調査では,89.2%の症例が治癒していた.試験中,有害事象はみられなかった.ジメチコン製剤はアタマジラミ虫体だけでなく卵にも有効で,かつ安全であった.現在,シラミ治療薬の新規薬剤として承認され発売されている.
アタマジラミは主に小児の間で集団感染する寄生虫疾患である.これまで日本でのアタマジラミ治療薬は,ピレスロイド系薬剤のみであったが,世界各地でピレスロイド抵抗性アタマジラミが蔓延し,日本,特に沖縄での抵抗性率は96%と蔓延している.この問題を受け,ピレスロイド抵抗性アタマジラミにも有効な薬剤の導入に向けて,沖縄のアタマジラミ症を対象に新規薬剤の臨床試験を行った.試験薬はシリコンの一種であるジメチコン製剤で,海外では市販薬としてすでに広く使用されている.有効症例23例の全例で,試験薬使用後に虫体は検出されず,採取した卵はほとんど孵化しなかった.試験薬使用4週間後の電話調査では,89.2%の症例が治癒していた.試験中,有害事象はみられなかった.ジメチコン製剤はアタマジラミ虫体だけでなく卵にも有効で,かつ安全であった.現在,シラミ治療薬の新規薬剤として承認され発売されている.
参考文献
1)Chosidow O, et al : Lancet 344 : 1724, 1994
2)Hodgdon HE, et al : Pest Manag Sci 66 : 1031, 2010
3)SupYoon K, et al : Insect Biochem Mol Biol 38 : 296, 2008
4)冨田隆史,他:厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書.
5)Yamaguchi S, et al : J Dermatol 48 : 1343, 2021
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