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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻5号

2023年04月発行

増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023

5.皮膚科医のための臨床トピックス

梅毒治癒判定後の早期神経梅毒

著者: 山口麻里1

所属機関: 1岡山赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.173 - P.175

文献概要

summary
梅毒は近年大流行し,いまだ明らかなピークアウトを迎えていない.日本性感染症学会梅毒診療ガイドにはその診断と治療に関する指針が示され,RPRが自動化法で治療前値の2分の1を下回ることが治癒判定基準になっている.しかしその基準に従い治癒と判定した以降に,早期神経梅毒の存在が明らかとなった症例を複数例経験した.神経梅毒は1期2期を含むどのステージの梅毒にもみられるため,梅毒診療時には常に念頭に置く必要がある.特に,何らかの神経症状(認知機能低下,運動感覚障害,眼・耳症状,脳神経麻痺,髄膜炎や脳梗塞症状などの所見)があればもちろんだが,無症候でもHIV感染合併時や治療難渋(RPRが低下せず治療成功に至らない)例,血清梅毒トレポネーマ抗体が高値の場合や感染から長期間経過している患者に対しては,その可能性を疑う必要がある.梅毒を治療・治癒したつもりでも実は神経梅毒が残存する事態を避けなければならない.

参考文献

1)日本性感染症学会梅毒委員会梅毒診療ガイド作成小委員会,他:梅毒診療ガイド2018.http://jssti.umin.jp/pdf/syphilis-medical_guide.pdf(2023年1月アクセス)
2)Goldern MR, et al : JAMA 290 : 1510, 2003
3)中島 直,赤松智孝:臨精医29 : 439, 2000
4)De Silva Y, et al : Genitourin Med 67 : 37, 1991
5)小林 譲:綜合臨牀38(増刊号):1049, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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