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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023 5.皮膚科医のための臨床トピックス
EGFR阻害薬による乾燥性皮膚炎と亜鉛欠乏症
著者: 藤山幹子1
所属機関: 1国立病院機構四国がんセンター皮膚科
ページ範囲:P.181 - P.183
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種々のがんの治療に用いられるEGFR(epidermal growth factor receptor)阻害薬は,高率に皮膚障害をきたし,しばしば高度の乾燥性皮膚炎を生じて患者の治療に対する意欲を失わせることがある.近年,亜鉛欠乏が刺激性皮膚炎を増悪させることが明らかとなったが,乾燥性皮膚炎もバリア機能の低下した皮膚に生じる一種の刺激性皮膚炎である.筆者らは,EGFR阻害薬の乾燥性皮膚炎においても亜鉛欠乏の合併が認められ,亜鉛の経口補充により血清亜鉛値が回復するとともに症状が改善することを見出した.血清亜鉛値はEGFR阻害薬の薬理作用として生じる血清マグネシウムの低下と相関していることから,EGFR阻害薬自体の作用に基づき亜鉛の欠乏を生じている可能性がある.EGFR阻害薬による乾燥性皮膚炎で亜鉛欠乏を認めれば,補充を試みるべきと考える.
種々のがんの治療に用いられるEGFR(epidermal growth factor receptor)阻害薬は,高率に皮膚障害をきたし,しばしば高度の乾燥性皮膚炎を生じて患者の治療に対する意欲を失わせることがある.近年,亜鉛欠乏が刺激性皮膚炎を増悪させることが明らかとなったが,乾燥性皮膚炎もバリア機能の低下した皮膚に生じる一種の刺激性皮膚炎である.筆者らは,EGFR阻害薬の乾燥性皮膚炎においても亜鉛欠乏の合併が認められ,亜鉛の経口補充により血清亜鉛値が回復するとともに症状が改善することを見出した.血清亜鉛値はEGFR阻害薬の薬理作用として生じる血清マグネシウムの低下と相関していることから,EGFR阻害薬自体の作用に基づき亜鉛の欠乏を生じている可能性がある.EGFR阻害薬による乾燥性皮膚炎で亜鉛欠乏を認めれば,補充を試みるべきと考える.
参考文献
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