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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻6号

2023年05月発行

症例報告

丹毒が疑われた塩化ベンザルコニウム原液による左耳垂下顎部化学熱傷の1例

著者: 髙橋ちあき1 江原佳恵1 西本周平12

所属機関: 1済生会横浜市東部病院皮膚科 2川崎市立川崎病院皮膚科

ページ範囲:P.395 - P.399

文献概要

要約 19歳,女性.自宅でピアッサーを用いて左耳垂にピアシングを行った.翌日から左耳垂周囲に発赤が生じたため市販の消毒薬で繰り返し消毒を行ったが症状は悪化し当院を受診した.初診時,39 ℃台の発熱と左耳垂から下顎にかけての紅斑と熱感,疼痛を認め,血液検査では炎症反応が上昇していたことから丹毒と考え,入院の上,抗菌薬治療を開始した.しかし皮疹部では水疱と壊死組織が出現し,炎症反応の更なる上昇を認めた.抗菌薬不応と考え変更を検討したが,皮疹が顕在化し一部に直線的な形状を呈したことから,外因的要素による可能性を疑い,再度詳細な問診を行った.その結果,本来は希釈して用いる10%塩化ベンザルコニウムを希釈せずに用いていたことが判明し,塩化ベンザルコニウム原液による化学熱傷と診断した.塩化ベンザルコニウムを誤って高濃度で使用し化学熱傷をきたした報告は過去にもあり更なる周知の徹底が望まれる.

参考文献

1)細谷 順,白石 正:薬局,南山堂,p 24, 2016
2)志田山了一,他:日形会誌 9 : 722, 1989
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8)江浦瑠美子,他:日小児泌会誌 28 : 52, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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