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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻6号

2023年05月発行

文献概要

症例報告

ボリコナゾール長期内服による多発有棘細胞癌の治療中に生じたMerkel細胞癌の1例

著者: 森愛菜1 持田耕介1 西川陽太郎1 中村俊央1 魏峻洸2 河野徳明3 天野正宏1

所属機関: 1宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野 2宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野 3宮崎県立宮崎病院内科

ページ範囲:P.433 - P.438

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要約 47歳,男性.11年前に急性骨髄性白血病に対して,同種骨髄移植および臍帯血移植を施行された.5年前より肺深在性真菌症に対してボリコナゾール(VRCZ)内服開始,その3年後に頭部に紅斑,びらん,4年後に多発有棘細胞癌(squamous cell carcinoma : SCC)を生じた.VRCZと紫外線の影響を考え内服中止し,イトラコナゾールへ変更した.多発するSCCは切除施行した.外来通院中に左頸部に1 cm大の腫瘤が出現し,全摘生検施行し,Merkel細胞癌(Merkel cell carcinoma : MCC)と診断した.VRCZの長期投与と紫外線の影響はSCC発生のリスク因子と報告されているが,MCCを発症した報告は,医中誌やPubMedで検索した限り,自験例を除き1例しかない.さらに,VRCZの長期投与後にSCCとMCCが併発した症例は自験例以外に報告はなく,発症後はMCCの比較的急速な病勢の進行を認めることから,同様な病態では慎重な経過観察と早期の治療が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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