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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻6号

2023年05月発行

症例報告

AIDS関連型Kaposi肉腫の1例

著者: 執行延明1 米田大介1 栁澤健二1 髙橋博之1

所属機関: 1JA北海道厚生連札幌厚生病院皮膚科

ページ範囲:P.439 - P.444

文献概要

要約 48歳,男性.当科初診の約半年前から体幹,左下肢に褐色調の斑状病変が出現.放置していたところ皮疹が徐々に増大,増加したため当科を受診.病理組織検査を施行すると同時に非同性愛者であるが東南アジア在住中に複数女性との性交渉歴があったため血液検査を施行したところHIV陽性が判明し最終的にAIDS関連型Kaposi肉腫と診断した.当科で精査中に呼吸器症状が出現したため大学病院血液内科に入院し,全身精査で肺と消化管にもKaposi肉腫が発見された.病状悪化のためanti-retroviral therapyを開始し,さらにKS治療目的でドキソルビシン塩酸塩を追加した結果,臨床症状および画像や血液所見が改善したため外来通院治療となった.近年,AIDS関連型Kaposi肉腫の報告が増えているがKaposi肉腫が先行する例は少ない.したがって,皮疹以外の臨床症状を欠く患者については皮膚病変の精査がAIDS診断に至る有用な手段となりうるため,皮膚科医の果たす役割は重要と考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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