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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻7号

2023年06月発行

症例報告

血糖自動測定用パッチ(FreeStyleリブレ®)による接触皮膚炎の1例

著者: 三海瞳1 関東裕美1 田中博子1 伊藤崇1 鷲崎久美子1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.483 - P.486

文献概要

要約 50歳,女性.劇症1型糖尿病を発症しインスリン自己注射を行い,血糖コントロールに血糖自動測定用パッチ(FreeStyleリブレ®)の使用を開始した.3か月間使用後センサー貼付部に瘙痒性皮疹が生じ,近医で治療するも漸次悪化し精査加療目的に当院を紹介され受診した.FreeStyleリブレ®センサーの接着面含有成分でパッチテスト(patch test : PT)を行ったところ,接着剤成分であるイソボルニルアクリレート(isobornyl acrylate : IBOA)で陽性を呈し,これによる接触皮膚炎と確定診断した.現在医療や美容などの分野で使用される接着剤の成分としてアクリル樹脂が多く使われている.IBOAはアクリルモノマーであり,この重合体がアクリル樹脂である.IBOAは自験例で用いられた医療機器以外にジェルネイルなど美容分野で使用されることも多く,IBOAの接触皮膚炎は今後増えてくる可能性がある.医療や美容分野の接着剤による接触皮膚炎の原因の1つとしてIBOAを認識する必要がある.また,重症な1型糖尿病患者では頻回の血糖測定が必要であるため血糖自動測定機器の使用が非常に便利であり,接触皮膚炎を発症させずに製品を使用する工夫や,原因物質の特定によってそれを含まない製品の製造なども望まれる.

参考文献

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9)Herman A, et al : Contact Dermatitis 77 : 367, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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